本が完成したから「焼肉店で打ち上げだ!」、というような景気のよいことはいえず、自身のご褒美として晩酌にビール1本を増やすくらいなのがこのご時世。それが当たり前の日々なので、なんてことないといえばなんてことないのですが、今回の本を作ったあとは、無性に焼肉が食べたくなりました。なぜなら、作った本が『焼肉語辞典』(誠文堂新光社発行)という、制作中になんどもツバを飲み込むような内容だったから。
本書は焼肉に関係した680の言葉を収録しており、特別付録では監修者が焼肉の焼き方、食べ方を伝授。その中で“厚切り肉”についても紹介しています。
取材では「1枚目は焼き上がったらすぐに食べてみよう」ということで、ひと口賞味。品質のよい和牛(部位はシンシン)をプロがカットし、プロが七輪で焼いていることもあって、うまい!
グルメ雑誌ならこの情報だけで十分でしょう。しかし、本書はここから先があります。「2枚目は皿の上で焼いた肉を少し休ませて食べてみよう」ということで、焼いた時間と同じくらい(このときは4、5分)待ってからひと口。言葉が出ないうまさはこういうことなのか。肉汁(旨み)が全体にいき渡り、口の中が“うまい”だけで構成されている状態。これぞ“うなるうまさ”というものです。